不動産の査定、媒介契約から税金の計算や確定申告まで。
普段の生活ではなじみの薄いことをするのが不動産売却です。
今回は不動産売却がどのようなものか知るために、売却前の準備から売却後の確定申告までを解説していきます。
不動産売却の各段階を押さえていきましょう。
また、本文に入る前に1つ質問させてください。
不動産売却を成功させるために一番大切なことは何かご存知ですか?
それは、「不動産の適正価格を知ること」。
2021年現在、不動産市場は高止まりの状況にあり、高値で売却できる売り手市場になっています。
この状況を活かして「1円でも高く売りたい!」と考える方は多いでしょう。
しかし、もしもあなたが1社~2社にしか不動産の査定依頼をしていないとしたら、その好機を逃してしまうかもしれません。
例えば・・・
適正価格が3,000万円の不動産を売却しようとしたとします。
査定に出した2社の不動産会社の査定額が「3,400万円」と「3,300万円」だったとしたら、あなたはどうするでしょうか?
おそらく、「結構良い値段で売れるんだな。じゃあ、3,400万円で売り出してみようかな」と考える方が多いのではないでしょうか。
しかし、この価格は実際の適正価格、相場より数百万円も高いのです。
その結果、買い手がなかなかつかず仕方なく値下げすることになります。
何度も値下げを繰り返すと売れない物件というイメージがついてしまうため、さらに売れなくなり、結果的に適正価格の3,000万円よりも低い価格で売却せざるを得なくなってしまうのです。
せっかくのチャンスを逃してしまいました。
不動産売却で大切なのは、「不動産の適正価格を知ること」。では、どのように適正価格を調べればいいのでしょうか。
そこで、おすすめしたいのが不動産の査定を最低6社以上に依頼するという事です。
6社以上に査定をお願いすることで不動産の相場観をつかむことができるため、不動産売却が成功へと近づきます。
近年では、複数の不動産会社にまとめて一括請求できる「一括査定サイト」が多くありますが、中でもおすすめなのが下記のサイト3つです。
東証一部上場企業「NTTデータグループ」運営。全国1,500社と提携しているので、地域を選ばず利用できる。
三井のリハウス、住友不動産、野村の仲介+など大手6社にまとめて査定依頼できる。都心部の不動産査定におすすめ。
JASDAQスタンダード市場上場の「Speee」運営。チャット形式で簡単に査定依頼できる。
全国的に一番幅広く利用できるのはHOME4Uですが、HOME4Uだけを利用すると査定可能な会社が数社しか出てこないケースもあります。
そのため、地域によって2つの一括査定サイトを利用することをおすすめします。
・都心部の不動産・・・「HOME4U」と「すまいValue」
これら3つの査定サイトは、厳選された不動産会社とのみ提携しているので悪徳な不動産会社に依頼してしまうというリスクも避けることができます。
利用はもちろん無料ですし、一度に複数社に依頼できるためとても簡単です。
査定依頼をしたからといって、しつこい営業電話攻勢にあうといった心配もありませんので、是非活用することをおすすめします。
不動産売却を成功させる第一歩となります。
それでは本文に入っていきましょう!
まず不動産売却の概要を理解する
「不動産をどうやって売却するかわからない」
不動産売却の経験のない人は、不安に感じるでしょう。
普段の生活でモノを買うことはあっても売ることはあまり経験がありません。特に不動産は、法律制度から税制、そして慣習まで複雑に絡んでいます。
ここでは、不動産の売却前に知っておくべきことをまとめてみました。
不動産売却の基本的な流れから媒介契約までを解説します。
不動産をなぜ売却するのか
不動産を売却するにはさまざまな理由があります。主なものには以下の事柄が挙げられます。
- 結婚
- 出産等による住み替え
- 相続
- マンション⇔戸建ての物件種を変える
- 転勤・転職
- 離婚
- 金銭的問題
大切なのは
「いつまでに」
「いくらで」
売却したいかを明確にするという事です。この2点が明確になっていないと、誤った売却戦略をとってしまい失敗しがちです。
例えば、できるだけ早く売却したいのであれば相場よりも少し価格を下げて売り出すことで早く成約に近づきます。
一方時間はかかっても高く売りたいのであれば、市況を見ながら希望価格で売りに出し続けることも可能です。
何のために売却するのか、まず目的を明確にすることでゴール設定を行いましょう。
不動産売却のおおまかな流れ
不動産売却の基本的な流れは以下のとおりです。
さっそく見ていきましょう。
1.相場を調べる
自分の不動産がどれくらいで売れそうなのか、目星を付けます。
Web上には不動産のポータルサイトをはじめ、物件情報の掲載されているサイトが盛りだくさんです。これらのサイトで自分の不動産周辺の物件がいくらくらいで売却されているのかを調べてみましょう。
この段階では、例えば3,000万円から3,500万円といった、アバウトな水準でも大丈夫です。
2.査定を依頼
大まかな相場を把握できたら、次は不動産業者に査定を依頼します。
不動産業者は不動産売買のプロです。物件の状態やこれまでの周辺物件の売買実績など詳細なデータから、その不動産がいくらくらいで売れるのかを判断します。
依頼する不動産業者は不動産一括査定サイトで探してもよいですし、知り合いがいればその業者でも構いません。
できれば3社ほどに依頼すると適正な相場がつかめます。
3.査定・調査
査定は現地を調査しない机上査定と、現地調査をする実地査定があります。
きちんと査定してもらうには実地査定がおすすめです。
不動産業者に実際見てもうらことでアドバイスをもらえます。特にハウスクリーニングなどは必要なく、ありのままを見せればOKです。
4.売却価格の決定
査定を経て売却価格を決定します。
売却価格は査定結果を踏まえたものにすることが望ましいです。
そのほかにも、住宅ローンの残高や新しい家の購入代金を考慮することもあります。
買主からの値引き交渉に備えて少し高めに出すことも戦術です。
最初に調べた相場レベルであれば、早期売却の可能性が高まります。
5.媒介契約
売却価格の決定と前後して、不動産業者と媒介契約を締結します。
媒介契約は不動産業者に買主を探してもらい、契約の仲立ちを依頼する契約です。
媒介契約には後程説明しますが3種類の類型があり、それぞれ仕組みや制約が異なります。
不動産業者は3つの類型の中でも専任媒介契約を希望することが一般的です。
専任媒介契約は、他の不動産業者と重複して契約することができず、顧客を奪われることがないためよく利用されています。
6.売却活動
媒介契約を締結すると売却活動に入ります。
Web上に物件情報が掲載され、現地に「売り物件」といった看板を立てることも。買主候補が現れると、内覧も始まります。
値下げ交渉や条件交渉も売却活動の一環です。これらは不動産業者が主導してくれます。
ただ、決定を下すのは、当事者である売主です。
7.売買契約
価格や条件に折り合いがつけば、晴れて売買契約です。
契約書や重要事項説明書は不動産業者が作成してくれます。
作成には「売主」として協力することになります。
買主が住宅ローンを利用する場合は、契約と引き渡しが別の日となります。
手付金の受け取りもこの段階です。
契約自体は買主と顔を合わせずに、契約書への署名捺印だけの場合もあります。
8.引渡し
住宅ローンが実行される日が決まると、最後は引き渡しの手続きです。
残代金や固定資産税等の清算、仲介手数料や司法書士手数料の支払いもこの日に行われます。
引き渡しは何千万円もする不動産やお金のやり取りではあるものの、引き渡し当日の作業は書類への署名や捺印の作業がほとんどです。
不動産業者に促されるままに書類に書き入れていくことになります。
最後に司法書士が書類を確認し、登記手続きを行うと引き渡しは完了です。
不動産の売却完了までの期間
不動産を売却しようと思ってから、不動産の売却完了までの期間は物件によって異なります。
査定から不動産業者の選定までは1カ月もかかりません。また、契約から引き渡しまでもおよそ1カ月です。
売却期間はその物件の人気や売りやすさによって変わります。
一般的に売却しようと思ってから3カ月で引き渡しまでできたら相当に早い売却です。
通常でも6ヶ月前後、売れない物件だとそれ以上かかることもあります。
3種類ある媒介契約の違いは?
売主と買主が売買で結ぶ契約のことを「売買契約」と呼ぶのに対して、仲介会社と売主(または買主)が結ぶ契約のことを「媒介契約」と呼びます。
媒介契約には3つのパターンがあり、それぞれ特徴が異なります。
複数社との契約 | 自分で見つけた買主と契約できるか | 指定流通機構(レインズ)への登録 | 売主への報告義務 | 契約期間 | |
一般媒介 | 〇 | 〇 | 任意 | 任意 | 制限なし(※1) |
専任媒介 | × | 〇 | 7営業日以内(※2) | 2週間に1回以上 | 3カ月以内 |
専任専属媒介 | × | × | 5営業日以内 | 1週間に1回以上 | 3カ月以内 |
※1 標準契約約款では3カ月以内
※2 媒介契約締結日翌日から起算
指定流通機構とは、いわば全ての売買物件データが集約されているところでレインズと呼ばれています。
仲介会社は、自社で取り扱っている売買物件についてこのレインズに登録することが求められますが、媒介契約の種類によって任意か義務かの違いがあります。
では、それぞれの契約内容について詳しくみていきましょう。
一般媒介契約
一般媒介契約は複数社との契約可能な特徴を持つ契約です。レインズへの登録も義務ではありません。
3種類の中で最も制限が緩やかな契約といえます。
依頼する不動産業者を絞り切れなかった場合や、法人仲介ではよく利用される契約です。
その反面、不動産業者側からすると、顧客に逃げられやすい契約ともいえます。
専任媒介契約
専任媒介契約は他社との契約ができません。
このため、不動産業者は独占的にその物件を取り扱うことができます。その分、安心して売却活動が可能です。
多くの不動産業者はこうしたこともあり、専任媒介契約を希望してきます。
その不動産業者が信頼できると判断したら、彼らのモチベーションを保つためにも専任媒介契約を締結することが一般的です。
専属専任媒介契約
専任媒介契約よりもさらに制限の厳しい契約です。
売主自ら買主を見つけてくることもできません。
また、不動産業者側も売主への報告義務の頻度が高いなどの負担がかかります。
このため、専属専任媒介契約は実務ではそれほど多く使われていません。
多くの不動産業者は専任媒介契約で十分と考えています。
不動産の売却にかかる税金
不動産の売却は多額のお金が動くため、様々な局面で諸費用以外のものが関係してきます。
その代表が税金です。税金には必ずかかるものと、場合によってかかるものとに分けられます。こ
こでは不動産売却に関係する税金について紹介します。
必ずかかる税金:印紙税
まずは必ずかかる税金から。それは印紙税になります。
契約書や領収書に貼るのが収入印紙です。収入印紙は立派な税金。契約書などに貼ることで納税をしているのです。
印紙税は契約金額や領収金額によって納税額が決まっています。
また、軽減措置が毎年のように更新されているのも特徴です。
令和4年3月31日まで不動産売買契約書への印紙税は以下のように軽減措置がとられ、安くなっています。
500万円超1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
売却益が出た場合にかかる税金(譲渡所得税)とその内訳
売却益が出ると、その売却益に税金がかかります。それが通称、譲渡所得税です。
譲渡所得税という税金は実は存在しません。住民税、所得税(譲渡所得)、復興特別所得税の総称となっています。
売却した年の1月1日時点で期間が判断され、所有期間が5年以下なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得となり税率が変わるのです。
短期譲渡所得(5年以下) | 長期譲渡所得(5年超) |
39.63% (住民税9%、所得税30%、復興特別所得税0.63%) |
20.315% (住民税5%、所得税15%、復興所得税0.315%) |
それぞれの内訳を見てみましょう。
住民税
都道府県民税と市町村民税からなるのが住民税です。
サラリーマンの場合は源泉徴収されているので馴染みは薄いのですが、しっかりと毎年徴収されています。
譲渡所得が発生した場合の住民税は、短期譲渡所得で9%、長期譲渡所得で5%の税率です。これは先ほどお話ししたように所有期間によって変動します。
所得税
不動産の売却益には所得税もかかります。
税率は短期譲渡所得30%、長期譲渡所得15%と所有期間で区分されます。
譲渡所得税には特例や特別控除も多いことから、売却益が出たとしても、特例で税負担がなくなることもあるのです。
復興特別所得税(2037年12月まで)
東日本大震災の復興財源にあてるために2037年まで課税されるのが復興特別所得税です。
その税率は長期譲渡所得で0.315%、短期譲渡所得で0.63%。
率としては大きくないものの、譲渡所得は金額も大きいため、税率は小さくでも納税額に影響を与えることもあります。
税金の計算方法
譲渡所得は、
- まず譲渡所得を求める
- 譲渡所得に税率をかける
という2段階の計算により算出されます。
まず、譲渡所得がいくらになるかを計算します。
「売却にかかった諸経費」には仲介手数料や司法書士の手数料などが含まれます。こうして求められた譲渡所得に税率をかけます。
先ほど説明したように所有期間の短期・長期により税率は異なります。
譲渡所得税のシミュレーション
では、実際の値を使ってシミュレーションを行ってみましょう。
【例】
・3,000万円で購入した家を3,500万円で売却。売却時の諸費用は300万円。所有期間3年。
まず譲渡所得を求めます。
3,500万円-3,000万円-300万円=200万円
譲渡所得が200万円と判明しました。
この譲渡所得に税率をかけます。所有期間が3年なので短期譲渡所得に該当します。
200万円×39.63%=約79.3万円
譲渡所得税は約79.3万円となります。
不動産売却の税金対策は特例を上手に利用する
譲渡所得税には多くの特例や特別控除があります。
これは生活の基盤である不動産から必要以上に税金を取らないための措置です。
その代表格が3,000万円の特別控除。この特別控除のおかげで多くの人が譲渡所得税の課税を回避しているのです。
譲渡所得税課税の救世主ともいえる3,000万円の特別控除について勉強していきましょう。
3,000万円特別控除とその主な4つの条件
現在住んでいる、または3年ほど前まで住んでいた自宅を売却すると3,000万円もの特別控除を受けることができます。
3,000万円という額はかなり大きなものです。その一方でいくつかの条件もあります。
ここでは、その主な条件についてみていきましょう。
3,000万円特別控除の主な条件は以下の4つです。
- 売主本人が居住していること
- 転居してから3年後までに譲渡したこと
- 家を取り壊した場合に他の用途に利用していない
- 家族や親族に売却していないこと
ひとつずつ確認していきましょう。
1.売主本人が居住していること
まずは売主本人が居住していることです。
本人が居住していない場合は自宅とは言えません。
このことから別荘やセカンドハウスは対象外です。ただし単身赴任などは除きます。
本人の居住を要件にするのは、住んでいない家を転売して儲けようとする者を排除することが狙いです。
2.転居してから3年後までに譲渡したこと
転居、すなわち住まなくなった日から数えて3年を経過する年の12月31日までに売却することが必要です。
居住の実体がなくなってから3年とプラスアルファの期間内に売却する必要があります。
この3年という期間は、もたもたしているとあっという間です。
少々のんびり構えていたり、売却がうまく進まなかったりすると、すぐに過ぎてしまいます。
3.家を取り壊した場合に他の用途に利用していない
家の状態や築年数によっては建物を取り壊すこともあります。
残った土地を、例えば貸し駐車場にして貸している場合には、この特別控除は受けることができません。
この特別控除はあくまで居住用の不動産に適用されるもの。
貸し駐車場として利用していると居住用の不動産とは言えないからです。
4.家族や親族に売却していないこと
家族や親族に売却していないことも条件です。
こうした身内に売却していると、売却の実体が伴っていないこともあります。
この特別控除を受けたいがために売買を偽装していることもあるのです。
また、不当に高くまたは安く売却している可能性もあります。
こうした恐れがあることから、身内への売買では適用できなくなっているのです。
ここに挙げた以外にも細かい条件がありますので、詳細は国交省のサイトで確認しましょう。
ふるさと納税で控除を受ける
ふるさと納税は、今住んでいる場所以外の自治体に寄付というかたちで納税できる制度です。
寄付した自治体からは返礼品としてその土地の特産品を受け取れるため、多くの人が利用しています。
このふるさと納税を利用することで、所得税・住民税の控除額を上げることが可能になります。
ふるさと納税は所得の高さに応じて控除額が決定します。
そのため、不動産売却により得られた譲渡所得があると所得全体が上がり、ふるさと納税の控除額が上がることになるのです。
注意ポイントとしては、売却した年と同じ年にふるさと納税による寄付を行う必要があるということ。翌年になってしまうと寄付した金額を譲渡所得から差し引け無くなってしまうためです。
また、どの程度控除額が上がるのか、上限額はいくらか、といった点は、税率や家族構成などの諸条件により異なるため、詳細は自治体や税理士に問い合わせてシミュレーションを行うことをおすすめします。
3,000万円の特別控除は住宅ローン控除・ふるさと納税とは併用できない
とてもお得な3,000万円の特別控除ですが、ひとつ注意すべきポイントがあります。
それは、住宅ローン控除やふるさと納税とは併用ができないという点です。
住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の1%が10年間(現在は特例により13年間)所得税から控除されるというものです。
もしあなたが、今の住まいを売却して新しい住まいに転居しようとしている場合は、どちらかを選ばなくてはいけません。
どちらがお得になるかは金額により変わりますので、実際に試算してみると良いでしょう。
また、住宅ローン控除とふるさと納税の併用は可能です。
不動産売却時の仲介手数料
不動産売却がうまくできたら、不動産業者へ仲介手数料を支払う必要があります。
この仲介手数料は、物件価格の約3%です。不動産業者にとって仲介手数料は仲介業務での唯一の収入源となっています。
なかなか値引きにも応じてくれない仲介手数料その計算方法を勉強しましょう。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料の計算方法は次のような速算法が使われています。
- 仲介手数料=(物件価格×3.0%+6万円)×1+消費税率(10%)
例えば3,000万円の物件を購入した場合は、(3,000万円×3.0%+6万円)×1.1で105.6万円となります。3,000万円で100万円を超える仲介手数料になるため、意外に大きな出費となるのです。
仲介手数料無料の会社がある?
不動産会社の中には仲介手数料を半額や無料にしているところもあります。
通常、仲介会社は「売主」と「買主」両方から仲介手数料をもらっています。
しかし、これをどちらか一方だけにすることで、もう一方に対しては仲介手数料を安くできるという手法をとっているのです。
仲介会社は両方から仲介手数料をもらうよりは利益は減ってしまいますが、「仲介手数料無料」を謳うことで集客力アップにつながります。
また売主(または買主)側は大きな金額である仲介手数料が安くなったり無料になったりするので非常にお得です。
諸費用の中で節約できる費用は限られているため、仲介手数料無料の不動産会社を探してみるのもおすすめです。
税金・手数料以外にかかる諸費用
不動産売却時にかかる費用として、これまで税金や仲介手数料についてお話ししてきました。
これだけでもかなりの出費です。ですが、売却時にはこれら以外にもかかる可能性のある費用があります。
それは住宅ローンに関連する費用です。住宅ローンを借りている場合は返済に手数料がかかります。抵当権もついたままです。
税金や仲介手数料以外にかかる諸費用について調べてみました。
- 抵当権抹消登記費用
- 住宅ローン返済手数料
- 必要に応じてかかる費用
順に見ていきましょう。
1.抵当権抹消登記費用
住宅ローンを借りていると、抵当権が設定されています。
この抵当権は自分で抹消しなければなりません。金融機関が気を利かせて抹消してくれるというわけではないのです。
多くの場合、抵当権抹消登記は司法書士に依頼します。費用としてはそれほど多額ではなく、数万円程度です。
所有権移転登記を依頼する司法書士に一緒に依頼することになります。
2.住宅ローン返済手数料
金融機関に住宅ローンを返済するにも手数料が発生します。
手数料の額は数千円から数万円程度。金融機関によってもその額は異なります。
また、ネットバンキングで返済すると安くなる傾向です。
返済する際には、金融機関の担当者に連絡し遺漏のないようにしておきましょう。
3.必要に応じてかかる費用
その他、必要に応じてかかる費用があります。
- 家の解体費 100万円~500万円程度
- 廃棄物の処分費用 10万円~80万円程度
- ハウスクリーニング費用 1万円~10万円程度
- 測量費用 50万円~100万円
- 仮住まい・引っ越し費用
上記のような費用は必須ではありませんが、場合に応じてかかる費用です。
家の住み替えを行う場合、新居の引き渡し時期によっては一旦仮住まいにうつらなくてはいけないこともあり、その場合は2回引越しが必要になります。
不動産売却後の確定申告は必要?
確定申告。年度末になると話題にのぼることがあります。
しかし、確定申告はサラリーマンの方にはあまりなじみがありません。
不動産売却の結果によって確定申告がしなければならなない場合と、不要な場合が存在します。
確定申告が必要なのに、放置しておくと大変です。
そもそも確定申告がどのようなものか、不動産売却で確定申告が必要なケースと不要なケースについてみていきます。
そもそも確定申告とは?
確定申告とは、1年間の収入と支出を計算して、儲けがある場合には税金を納める手続きのことです。
サラリーマンの場合は年末調整を会社が行ってくれるので、副業をおこなっていなければ通常確定申告をする必要はありません。
しかし、不動産を売却した場合には儲けが出ることがあります。
このため、確定申告をしなければならない場合があるのです。
確定申告が必要な場合
不動産売却で確定申告が必要な場合とは、不動産売却して儲けが発生した場合です。
この場合の儲けとは、譲渡所得のこと。
譲渡所得がなくても、特例や特別控除を利用する場合には確定申告が必要です。
損益通算(利益と相殺すること)ができるのであれば、譲渡所得がマイナスでも確定申告したほうが得になることもあります。
現在ではネットで情報を得ることも可能です。確定申告をネットでできるようにもなっています。
一度、試しに計算をしてみると良いでしょう。
確定申告が不要な場合
譲渡所得がマイナスとなり、特例や特別控除、損益通算をしない場合には、確定申告は不要です。
例えば購入金額4,000万円の住宅を3,000万円で売却した場合、確定申告はする必要がありません。
ですが、運よく5,000万円で売却できた場合には、確定申告すべき可能性が残ってしまうのです。
一般的に建物は年月を経るほどに価格が下落していきます。
ただし、土地は上昇の可能性があるもの。都心で土地の割合が高い物件は要注意です。
確定申告で必要な書類
確定申告で必要な書類は申告書などの税務関係の書類以外では、以下のようなものです。
- 売却時の売買契約書のコピー
- 土地建物の全部事項証明
- 購入時の領収書等金額が判明するもの
このほか、譲渡費用として計上できる仲介手数料や司法書士手数料の領収書等もあるとよいでしょう。
申告書類はWeb上でも国税庁運営のサイトから作成することも可能です。サイトはずいぶん見やすくなりました。
もし自信がなければ、無料相談会を利用するか、有料ながら税理士を利用しましょう。
確定申告の方法
確定申告は必要書面を作成し、税務署に提出します。
最近ではe-Taxというオンラインシステムでも提出可能なので、自宅で確定申告を行うことができます。
マイナンバーカードでe-Taxを利用する場合はICカードリーダーライターが必要です。
参考:令和2年分 確定申告特集
確定申告しなかったらどうなる?
確定申告は国民の義務です。
このため、確定申告をしないと様々なペナルティやリスクが生じます。
まずは税務署からの調査です。その後延滞税や無申告加算税が課せられます。
悪質な場合にさらに課せられるのが重加算税です。
こうした税金の加算とともに、金融機関の融資も受けにくくなります。
確定申告をしないことはこうした多くのリスクを伴うのです。
不動産売却はどこがいい?仲介会社の選び方
では、実際に不動産を売却しようと思った時にどこの仲介会社に依頼すれば良いのでしょうか?
「不動産を売却する」という行為は、一般の人にとっては馴染みのない行為のためプロである仲介会社がその成否に大きく関わります。
ここでは、仲介会社を賢く選ぶ方法を解説していきます。
順に見ていきましょう。
1.提案内容をよく見る
不動産を売却する理由はさまざまです。
そのため、多様なニーズに応えた提案ができるかというのは一つのカギとなります。
最終的な判断をくだすのは売主ですが、そこまでにいかに納得のいく決断へと導いてくれるかは、仲介会社の手腕にかかっています。
査定価格だけではなく、売却の方法、アピール方法、住み替えであれば次の住まいの提案など、柔軟な対応力は重要です。
2.売却実績がある会社を選ぶ
同じようなケースの売却実績が豊富な仲介会社を選ぶと安心です。
各仲介会社には得手不得手の分野があることが一般的です。マンション売却に強い会社、投資物件に強い会社、相続案件を良く扱う会社など、それぞれ特徴があります。
同じようなケースをよく取り扱っている会社を選べば、売却活動の強い味方となるでしょう。
3.最後は会社よりも担当者で選ぶ
仲介会社の特徴ももちろん大切なのですが、最終的には担当者の熱意があるかどうかにかかっています。
いくら会社のサポートが手厚くても、熱意をかけてくれない担当者では売れないまま時間だけが経過する事態になってしまうのです。
売主の事情を良く把握して買主のニーズとマッチさせるのは、担当者の力量次第と言ってもいいでしょう。
買主にとっては、売主と仲介会社の担当者からしか情報を得ることができないため、買主にとっても安心できる担当者になり得るか?という視点も大切です。
不動産売却を成功させるための6つのポイント
ほとんどの人が経験のない不動産売却。経験が乏しければどうやってよいのかもわかりません。
不動産業者に頼るのもひとつの手段ですが、彼らとも利害が対立することもあります。不動産売却を成功させるには、自分である程度考えることも必要です。
そのポイントを6点あげてみました。
それぞれ詳細に説明します。
1.複数の不動産業者に査定を依頼
まず、査定は複数の不動産業者に依頼しましょう。
数が少ないと、その不動産業者がきちんと売れる査定額を提示しているかわからないからです。
高い査定額は魅力的に映るものの、その価格で不動産会社が買い取ってくれるわけではありません。結局売れなくては意味がないのです。
物件の適正な相場を知るためにも3社程度は査定を依頼するようにしましょう。
2.専任媒介契約がおすすめ
締結する媒介契約は専任媒介契約がおすすめです。
専任媒介契約を締結するとその不動産業者以外とは媒介契約を結ぶことができません。
これは不動産業者側からすれば、成約させれば必ず自社の利益になります。
そのため、売却活動を熱心に行ってくれる可能性が高いのです。
実際、成約した人の6割が専任(専属)契約を結んでいることが分かっています。
媒介契約の種類 | 成約率 |
専属専任媒介契約 | 35.9% |
専任媒介契約 | 25.6% |
一般媒介契約 | 15.0% |
不明等 | 23.4% |
信頼できる不動産業者を見つけることができたなら、専任媒介契約をベースにして話を進めていきましょう。
参考:「既存住宅取引と媒介契約制度に関する調査研究」平成31年|公益財団法人 日本住宅総合センター
3.内覧は積極的に受け入れよう
売却活動が進むと、内覧を申し込んでくる買主が現れます。
空き家ならともかく、生活中の家を他人に見られるのは煩わしさもあるでしょう。
ですが、そこは割り切ってありのままを見せましょう。不動産は商品でもあるのです。
買主も内覧をして現物を見ないと判断ができません。内覧は積極的に受け入れるようにしましょう。
4.清掃も効果的に
内覧のために不動産はなるべくきれいに見せたほうが効果的です。
とはいえ、リフォームをしたり、居住中なのにハウスクリーニングを依頼したりする必要まではありません。居住中であれば一般的な掃除と整理整頓で十分です。
ものを少なくしてスッキリと広く見せたり、カーテンを全て開き明るい空間を演出したりなどの工夫は必要ですが、買主は何も売主の生活をのぞきに来るのではありません。
内覧はあまり肩肘を張らないようにしましょう。
5.不具合は包み隠さず
万一、雨漏りやシロアリ被害があれば素直に申告しましょう。
扉の不具合や漏水、網戸の破れといった小規模なことも不動産業者に伝えるべきです。
これらの不動産の不具合は後日問題となることがあります。内覧や売買契約の段階では見過ごされても、後日問題となるほうが大きな問題となるのです。
不具合は正直に包み隠さず不動産業者に伝えておきましょう。
6.価格を下げるのは最終手段
売却活動をしても全く売れない場合もあります。こうなると何らかのテコ入れが必要です。
そのひとつは物件価格の値下げになります。ただ、値下げはその分売主の収入減です。
不動産業者は早く売却できたほうがよいため、値下げを進めてくることもあります。
値下げはそれ自体によって「売れない物件」という印象を買主に与えてしまう可能性もあるため、最初の売り出し価格を決定する段階で担当者と慎重に話し合う必要があります。
はじめから値下げを視野に入れるというよりは、それは最終手段であると心にとめておきましょう。
売却以外の3つの選択肢
今でも日本では不動産の処分は仲介による売却が一般的です。
ただ、それ以外の方法も増えてきています。
それはスピーディーに売却したい、あるいは売却せず有効活用したいといった要望が増えてきているからです。
仲介による売却以外の方法を3つ取り上げてみました。
- 買取
- リースバック
- 賃貸
これらの方法について解説します。
1.買取
買取とは、買取専門の業者に不動産を買い取ってもらう方法です。
最も時間を要する買主探しがないため、スピーディーに売却することができます。
およそ1カ月もあれば、依頼から引き渡しまで完了です。
その代わり、買取価格は安くならざるをえません。一般的に相場の6割~7割程度です。
業者が買い取った物件にリフォームを施して再販売するからです。
2.リースバック
リースバックとは、不動産を売却してその不動産を買主から借りることです。
外見上は売買があったことがわかりません。同じ家に住み続けることもできます。
ただ、賃料が発生することと不動産の所有権を失ってしまうということがデメリットです。
今すぐ現金が必要だけど今の家には住み続けたい場合におすすめの方法です。
リースバックは少しずつ増えており、今後はますます増加する可能性もあります。
3.賃貸
売却以外のオーソドックスな方法、それは賃貸に出すことです。
マンションでは立地条件がよければ高い賃料で借り手が見つかります。
戸建住宅もそもそも戸建賃貸が少ないことから一定の需要は見込めるのです。
収益物件となるため、住宅ローンが使えないこと、立地条件によっては賃貸需要がないことが課題となっています。
まとめ
慣れない不動産売却ではあるものの、信頼できる不動産業者と、売主の不動産売却の知識があれば、それほど恐れるものではありません。
不動産に関する知識はWeb上にも書店の不動産コーナーにもあふれています。
こうしたところから正しい知識を得ることができれば、不動産売却が成功する可能性は高まるのです。
正しい知識と信頼できる不動産業者を得て、不動産売却を成功させましょう。
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