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中古マンションを購入するときに築年数を気にする方は多いと思います。
築年数が古いマンションのほうが安いから?
築年数が古いと住宅ローンが組みにくくなるからでしょうか?
そういった理由もあるかもしれませんが、購入後いつまで住むことができるかという点については、もっとも気になるところでしょう。
老後の生活を満喫しているときに、自己所有のマンションの建て替えについて話し合わなければならなくなったなどの面倒ごとはできれば避けたいものです。
しかし、マンションは本当の寿命がくるまえに、以下のような理由によって建替えられることもあるのです。
- 耐震基準など安全性に関わる理由
- 建替えた方が入居者の利益になるなどの経済的な理由
- 付属設備が現在の規格に合わない
ここ数十年の間に、大地震が何度もあり建築基準法などの関連法律が変わったこと、また建材などの質が大きく変わったことで早めに建て替えをするマンションも増えてきました。
したがって、現在の築古のマンションが新築から何年で建て替えられているかということは、マンションの本当の寿命を考えるうえで参考程度にしかならないということもあります。
今回はマンションの寿命について詳しく説明していきますので、中古マンションを購入するときにはぜひ今回のコラムを参考にしてみてください。

【本記事の監修者】 宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー 大学卒業後、東証一部上場大手保険代理店へ入社。その後、大手不動産ポータルサイト運営会社へ転職。ITベンチャー企業での経験を経て株式会社Azwayを創業。 「住まい」と「ライフスタイル」に特化したWEBサービスを手掛けている。
もくじ
マンションの寿命はどれぐらいか

鉄筋コンクリート造あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造のマンションは、メンテナンスがしっかりしていれば50年、100年と長い間使えるものです。
しかし、マンションの「法定耐用年数」はそれよりも短い期間が設定されています。
「法定耐用年数」とは、税務会計上の減価償却費を計算するために税法上定められている年数をいいます。
法令が制定されたのか昭和40年代ということもあり、現在の建築技術や資材の質の向上が反映されておらず、実際の建物の寿命とはあまり関係がありません。
SRC造・RC造の法定耐用年数
国税庁のホームページによると、建物の法定耐用年数は以下のようになっています。
| 用途・構造 | 細目 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 木造・合成樹脂造 | 事務所用 | 24 |
| 店舗用・住宅用 | 22 | |
| 旅館用・ホテル用・病院用・車庫用 | 17 | |
| 公衆浴場用 | 12 | |
| 工場用・倉庫用(一般用) | 15 | |
| 木骨モルタル造 | 事務所用 | 22 |
| 店舗用・住宅用 | 20 | |
| 旅館用・ホテル用・病院用・車庫用 | 15 | |
| 公衆浴場用 | 11 | |
| 工場用・倉庫用(一般用) | 14 | |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 事務所用 | 50 |
| 住宅用 | 47 | |
| 店舗用・病院用 | 39 | |
| 車庫用 | 38 | |
| 公衆浴場用 | 31 | |
| 工場用・倉庫用(一般用) | 38 |
国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)」より一部抜粋
マンションは、鉄骨鉄筋コンクリートもしくは鉄筋コンクリート造の住宅用建物ですので、法定耐用年数は47年です。
この表を参照すると、木造の住宅用建物の法定耐用年数は22年です。
世の中には、新築から22年以上経過しても住まいとして利用されている一戸建ての住宅はたくさんありますので、法定耐用年数と実際の建物の寿命とはあまり関連性がないことがわかると思います。
実際のマンションの建替え事例
実際のマンションの建替え事例を見てみると、築年数が50年から60年のマンションが多くなっています。
分譲マンションの中でも最古参であった東京都新宿区の「四谷コーポラス」や渋谷区の「宮益坂マンション」はいずれも1960年前後に建てられたマンションでしたが、築60年ほどで建て替えらえました。
これだけ見るとマンションの寿命は60年ぐらいが限界なのではないかと思われがちです。
しかし次に述べるように、マンションは躯体や構造の老朽化によって住めなくなるまえに建替えられることも多いのです。
マンションの寿命に影響する3つの事項

では、マンションが本来の寿命より早く建て替えられてしまうのはなぜでしょうか。
それは、建築基準法などの法令の改正や、社会環境・ライフスタイルの変化などさまざまな要素が影響しています。
耐震基準などの安全性に関わる事項
平成に入って以降30年間において、日本は多くの大地震を経験してきました。
そのため、耐震性をはじめとする建物の安全性を確保することは最優先に考えられ、建築基準法などの法律も何度も改正されています。
特に、1981年6月には大きく耐震基準が変更されており、これよりも前に建設されたマンションは「旧耐震基準」によって建てられたマンションであるとして、地震に対する安全性が確保されていないものと考えられています。
耐震補強するという手段はありますが、構造や躯体を変更するものではないために新築同様の耐震性が確保されるものではありません。
したがって、旧耐震基準によって建てられたマンションについては急ピッチで建て替えが進んでいます。
経済的な要素に関わる事項
もう一つは経済的な要素による理由です。
平成バブル期後、地価は大きく下落しましたが、それでも昭和40年代や50年代に比べると地価が上昇している地域が多くなっています。
また、特に都心を中心に建築基準法や都市計画法が改正されたことで、容積率が緩和されて高い建物が建てられるようになった結果、土地の価値が大きく上昇したところもあります。
また、大規模な再開発によって隣地と合わせて開発することで土地の利用価値が高まり地価が上昇するということもあります。
このような状況から、古いマンションをそのままにしておくよりも再開発によって建て替えたほうが住民の利益になることも多いのです。
設備の老朽化や入居者の生活スタイルに関わる事項
最後に、躯体や設備の老朽化に関わる問題です。
コンクリートや鉄筋の劣化によってマンションの構造自体に問題があったり、設備の老朽化により更新費用が賄えなくなったりすることでやむをえず建替えられるというケースもないわけではありません。
しかし老朽化が原因で建替えられる場合、コンクリートの躯体自体に問題があるというよりは、入居者の生活スタイル老朽化したマンションに合わなくなったということが多いのです。
例えば、50年前は6階建てのマンションでも階段しかないのが当たり前でしたが、今はエレベーターが必須です。
また、以前はユニットバスがなかったためにふろ場の大きさがまちまちで、現在使われているユニットバスの規格に合わないということもあります。
またキッチン、給湯設備などの規格が合わなかったりすることで、新しい設備に交換できないという例もあります。
このように、現在の標準設備への交換が難しいために建替えられるということが多くなっています。
マンションの寿命が来たときの3つの対処法

マンションには実際に50年、100年もの長い間住み続けることができますが、それでもマンションに寿命がきたときには解体・売却などを検討しなければなりません。
マンションの行く末は、最終的には所有者の合意で決定します。
その際には、次の3つの方法について検討することになります。
マンションを解体撤去し更地にして売却する
まずは、マンションの建物を解体撤去し更地にして売却することが考えられます。
この方法は更地で売却することから売却価格は高くなりますが、解体撤去を依頼する手間が生じること、売却に先行して資金が必要になってくることから、現実的ではありません。
マンションを建て替えて入居者に新しい住戸を割り当てる
次に、マンションを建て替えて、建て替え後のマンションの住戸を現在の所有者に割り当てる方法があります。
マンション建替え円滑化法(平成14年施行)の制定によって所有者の5分の4の賛成でマンションの建て替えができるようになったために、マンションの建て替えが少しずつ実現されるようになったのです。
しかし、マンションを建て替えるためには、所有者の全員が建て替え費用として1,000万円から2,000万円の費用を負担しなければならないこと、また建て替えが完了するまで仮住まいに引っ越すことが必要になってくること、入居者が高齢化していることなどさまざまなハードルがありました。
そのため、マンション建替え円滑化法の施行当初はなかなか建て替えが実現しませんでした。
そのため、平成26年の改正によって、耐震性に問題のあるマンションであることの認定を受けることで、新しく建てられるマンションの容積率が緩和されるという特例が設けられました。
容積率が緩和されると従前より高い建物が建てられるようになるために、土地の価値が上がります。
その差額分を建て替え費用に充てることができることになり、建替えしやすくしようとするものです。
土地・建物を売却して新しいマンションを建設する
平成26年の法改正では、耐震性に問題があることの認定を受けることによって、土地・建物を一括して不動産開発会社(マンションデベロッパー)に売却し、マンションを建て替えることが可能になりました。
この方法を採用する場合には、マンションの所有者は新しく建てられたマンションに入居するか、売却代金を受け取って他の住居に転居するかは自由であるために、選択の幅が広がりました。
売却や建て替えの際には、マンションデベロッパー、建築士、弁護士など多くの専門家のアドバイスを受けることができる法制度や体制が整い、今後はマンションの建て替えが進むものと考えられています。
まとめ
鉄筋コンクリートのマンションの法定耐用年数は47年ですが、建築技術や建材の質の向上によってマンションの寿命は今後ますます伸びることでしょう。
それでもいつかはマンションに寿命が訪れます。その時には建て替えや売却を考えることになりますが、住民の賛成を得るためには何度も議論を重ねる必要があります。
マンション建て替え円滑化法の改正によって、従来に比べ建替えや売却がしやすくなったことで今後は老朽化したマンションが建て替えられる事例が多くなることでしょう。
皆さんも、中古マンションを購入する時には建て替えの必要があるのか、建て替えられる前に売却した方が良いのかなど、様々なケースを想定して購入を検討してみてください。






