長野県飯田市の井坪工務店は、信州の木と大工の手仕事で家をつくる工務店です。通気断熱WB工法を取り入れ、伊那谷で60年ほど家を建ててきました。ただ、会社名で検索しても、実際に建てた人の声がほとんど出てきません。自分の判断が正しいのか確かめたくても、手がかりが見つからない。そう感じている方は少なくないはずです。
幸せおうち体験談では、注文住宅を建てた施主1,132人へのアンケートに加えて、住宅会社に関する独自の口コミ調査を行っています。価格・住宅性能・保証・会社の実体については、公式サイトと、法人番号や建設業許可といった公的な資料で確かめています。
結論として、井坪工務店は、南信州で木の家を建てたい方には検討する価値のある工務店です。建設業許可と宅地建物取引業免許は公的な記録で、業界団体の認定はその団体の記録で裏づけが取れます。ただし坪単価も断熱の数値も、確認した公式ページには見当たらなかったため、総額と住宅性能については、見積もりの段階で書面にしてもらう必要があります。
この記事でわかること
- 公開されている口コミを5つの媒体で探した結果
- 口コミが少ない会社を、何で判断すればいいのか
- 公的な記録と業界団体の認定から分かること
- 価格はどこまで公表されているのか。総額をどう確かめるか
- 耐震や断熱の数値は分かるのか
- 引き渡し後の点検と保証の範囲
- 対応できる地域の調べ方と、3つの住宅ブランド
- 契約前に書面でもらっておきたいもの

まずはここに注目
住宅展示場へ行く前に、資料を集めて比較しておきましょう
詳しい内容を見ていく前に、ひとつだけ。建てる土地に対応した住宅会社の資料は、展示場へ行く前に集めておいてください。

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この記事の監修
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー 井口梓美
宅地建物取引業者である株式会社AZWAYの代表。不動産取引と住宅ローンの相談実務をふまえ、価格や保証にかかわる記載と法人の情報を、公式に公開されている資料で確認しています。

井坪工務店の口コミを探した結果、見つかったのは2件でした
インターネット上で公開されている井坪工務店の口コミを5つの媒体で探しましたが、この会社で家を建てた方の体験を書いた投稿は見つかりませんでした。第三者が書いた投稿として確認できたのは2件で、どちらも家づくりの体験ではありません。
探したのは、口コミ総合サイト、掲示板とQ&Aサイト、SNS、個人ブログ、動画のコメント欄です。会社名のほかに、本店の住所や代表電話、商品名でも検索しました。それでも、間取りの相談がどうだった、住み心地がどうだった、という記録には行き当たりませんでした。
確認できた2件は、どちらも個人ブログでした。1件は、この会社が子どもの木工作品づくりに協力したという発表を地域の会合で聞いた、という内容です。もう1件は、ショールームの敷地内にあった飲食店を何度か利用していて、その店が閉まったことを書き留めたものでした。どちらも会社の名前が出てくる記録ではありますが、家を建てた人の評価とは別のものです。
ここでいう2件は投稿の数であって、人数ではありません。今回の調査は無作為に抽出したものでも、公開されている投稿をすべて集めたものでもないため、世の中の割合や多数派を示すものではありません。媒体名は総称でのみ記しています。調べたのは公開されている投稿であって、施主本人へのアンケートではありません。数値の出どころは公式サイトと公的な資料に限っています。
対象から外した6件について
探す過程では、対象から外した投稿が6件ありました。理由は2つに分かれます。
3件は、名前のよく似た別の会社に関するものでした。長野県伊那市に、社名の読みがよく似た別の建設会社があります。どちらも伊那谷で住宅を手がけているため混同されやすいのですが、商号も所在地も公式サイトも別の会社です。掲示板や個人ブログでその会社の話題を見かけても、井坪工務店の評価ではありません。この記事でも扱いません。
残る3件は、住宅展示場そのものへの口コミでした。飯田と伊那の展示場には複数の住宅会社が入っています。投稿には展示場全体の印象は書かれていても、どの会社について述べたものかが読み取れませんでした。井坪工務店の評価として数えると事実と違ってしまうため、帰属が確認できないものとして外しています。
口コミが少ないという事実を、どう受け止めるか
口コミが少ない理由は、今回の調査では分かりませんでした。地域に根ざした工務店で施工の数が限られるから、という説明も、満足した人はわざわざ書かないから、という説明も、どちらも裏づけを取れていません。ここは推測を書かずに、分からないままにしておきます。
ただ、口コミの少なさをそのまま不安として抱える必要はありません。投稿はもともと、書いた人の体験と感想です。数が少なければ偏りが大きくなりますし、書かれた時期や担当者によって内容は変わります。会社側が対応した結果までは、投稿からは読み取れないことがほとんどです。数が多い会社であっても、そこは同じです。
大事なのは、口コミの代わりになる材料を持っておくことです。この会社の場合、公的な記録と業界団体の記録が、その多くを埋めてくれます。
口コミが少ない会社は、何で判断すればいいのか
判断の材料は2つあります。公的な記録と、業界団体の認定記録です。どちらも会社の申告だけで載るものではないため、口コミより確かめやすい情報です。
公的な記録で分かること
国税庁の法人番号公表サイトを出どころとする法人データによると、有限会社井坪工務店の法人番号は9100002035752、本店は長野県飯田市上郷黒田693番地です。代表者は井坪寿晴氏、設立は1969年6月と記録されています。この商号・所在地・設立年月・代表者は、公式サイトの会社概要と一致しました。閲覧した時点で、登記記録の閉鎖を示す記載は見当たりませんでした。
登記の変更履歴として掲載されていたのは、2015年10月5日の新規設立、つまり法人番号の登録だけでした。この日付は、2015年10月5日より前に設立された法人の法人番号が一律でこの日に指定されているために付いたものです。設立日そのものではありません。掲載されている範囲では、商号や本店の変更は記録されていませんでした。
許認可も公式サイトに掲げられています。建設業許可は長野県知事(般-4)第12829号、宅地建物取引業免許は長野県知事許可(7)第4198号、二級建築士事務所登録は長野県知事(飯田)A第06111号です。建設業許可の括弧の中の数字は許可を受けた年度を表すもので、更新した回数ではありません。宅地建物取引業免許の括弧の中の数字のほうは、免許を受けた回数を表します。1995年に不動産業の登録を受けてから、更新を重ねてきたことが分かります。
なお、これらの番号は、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムでも照合できました。2026年9月8日に確認したところ、建設業許可は第012829号、宅地建物取引業免許は(07)第004198号として登録されていました。どちらも商号は有限会社井坪工務店、代表者は井坪寿晴氏、所在地は長野県飯田市上郷黒田693で、公式サイトの記載と一致します。桁をそろえた表記の違いはありますが、指している番号は同じです。ただし二級建築士事務所登録はこの検索システムの対象外のため、同じ方法では確かめられませんでした。番号そのものは公式サイトに掲げられています。

業界団体の認定で分かること
もう1つの材料が、木造住宅協会の記録です。この協会の会員ページに有限会社井坪工務店が掲載されていて、所在地、電話番号、建設業許可番号、宅地建物取引業免許番号が、公式サイトの記載とそろって一致していました。会社が自分のサイトに書いている情報を、別の組織の記録で確かめられたことになります。
この協会は「信州ブランド」という認定の仕組みを持っています。井坪工務店は2022年10月に信州ブランド認定工務店として認定されました。工務店側の認定では、事業の引き継ぎ、財務、資格の表記、人材育成、地元の材料や職人の活用、再生可能エネルギーの採用状況という6つの項目について、チェックシートの提出と個別の聞き取りを経て認定されると説明されています。
施工例の認定もあります。2025年度に認定された井坪工務店の事例は4件で、内訳は4スターが3件、5スターが1件でした。4件とも木造軸組み工法と通気断熱WB工法で、床面積は27.56坪から34.87坪の範囲です。このほか、2026年度の認定事例として掲載されている1件は平屋でした。星の段階ごとに基準がどう違うのかは、公開されているページでは分かりませんでした。
会員ページには完成見学会の告知も並んでいます。2026年に入ってからだけでも、2月末、3月末、4月中旬、6月中旬、7月中旬、8月下旬と、予約制の見学会が繰り返し開かれていました。実際に建った家を見る機会は、少なくとも定期的にあるということです。
口コミの代わりに何を見るかで迷ったら、まずこの2つを確かめてください。許認可が公的な記録と一致していること、第三者の団体が現在も会員として扱っていること。この2点がそろっていれば、実体のある会社かどうかという段階の不安は解消できます。
気になる点を確認したら、ほかの住宅会社とも比べておきましょう
口コミだけでは判断しにくい部分も、資料を並べると、価格・間取り・保証の違いを整理しやすくなります。
井坪工務店はどんな会社か
創業から60年ほど、飯田市を拠点に伊那谷で家を建ててきた工務店です。従業員は50名で、設計から施工まで自社で手がけています。
創業から現在までの流れ
始まりは1965年、上郷町黒田で井坪兄弟建築として創業し、伊那方面を中心に注文を受けていました。1969年に有限会社井坪工務店として法人になり、長野県知事の建築業登録を受けています。1995年には不動産業の登録も受け、土地探しから相談できる体制になりました。
展示場は段階的に増えています。1998年に伊那ハウジングセンターへ、2000年に飯田ハウジングセンターへ出展し、2004年には住まいの情報センター松川を開きました。2018年に飯田の展示場を建て替え、2019年には松川をリニューアルしています。
代表取締役の井坪寿晴氏は1971年生まれで、1993年に入社したあと、現場で大工として経験を積んでいます。2000年に専務取締役、2006年から代表取締役です。会社概要によれば資本金は400万円、決算期は1月です。
対応できる地域は問い合わせで確かめる
木造住宅協会の会員ページは、南信の区分に置かれていて、飯田市、伊那市、駒ヶ根市、上伊那郡、下伊那郡、岡谷市、茅野市、諏訪市、諏訪郡のカテゴリに掲載されています。ただしこれは会員一覧の分類であって、この会社が示した対応エリアではありません。公式サイトの各ページを確認しましたが、対応エリアや施工範囲を明記した記載は見当たりませんでした。
沿革には、諏訪地方や名古屋方面へ受注を広げてきた時期の記録も残っています。掲載されているカテゴリの外だから引き受けてもらえない、と決まっているわけではありません。検討している土地で建てられるかどうかは、最初の問い合わせで確かめておくと無駄がありません。
展示場とショールーム
見学できる場所は4か所です。飯田展示場が長野県飯田市鼎名古熊1338-1の飯田ハウジングセンター内、伊那展示場が長野県伊那市下新田3044-1の伊那ハウジングセンター内、住まいの情報センター松川が長野県下伊那郡松川町元大島5121-1にあります。このほかにCAMPモデルハウスが案内されていますが、住所の記載は見当たりませんでした。
公式サイトは、展示場の案内のなかで「井坪には営業マンはおりません」と書いています。ナビゲーターと呼ばれる担当者が案内する体制だという説明です。売り込まれるのが苦手な方には、足を運びやすい環境かもしれません。
住まいの情報センター松川には、通気断熱WB工法を比較して体感できる部屋が用意されています。設備の実物もここで確認できます。
価格はどこまで分かるのか
価格は、この会社を検討するうえでいちばん情報が少ない部分です。公式サイトを一通り確認しましたが、坪単価も本体価格も記載は見当たりませんでした。商品ごとのページにも、金額の目安は出ていません。
公表されている金額でひとつだけ確認できたのは、建築申し込みの契約料です。家づくりの流れの3段階目にあたる設計契約のときに、契約料10万円と印鑑を用意するよう案内されています。ここから設計チームが要望を図面にしていき、プランが固まった段階で本見積もりを作り、本契約に進むという順序です。
坪単価が出ていないことを、一方的に不親切だとは言いにくい面もあります。坪単価は延床面積の取り方や、どこまでの工事を含めるかで大きく動きます。比べる指標としては当てにしにくいものです。とはいえ、検討する側は何かの数字で比べなければ判断できません。
そこで役に立つのが、公式サイトにある「Home Build」という見積もりシミュレーションです。家のタイプや間取り、設備を選んでいくとおおよその金額が確認でき、そのまま詳細な見積もりと打ち合わせを依頼できると説明されています。金額の見当をつける入口としては、問い合わせの前に触っておく価値があります。
ただし、シミュレーションの数字は建物についてのものです。実際に必要になる総額は、もっと広い範囲を足したものになります。本体工事に加えて、付帯工事、屋外の給排水、地盤改良、外構、照明とカーテン、登記や住宅ローンの諸費用、火災保険、そして土地代です。見積書に一式とだけ書かれた項目があれば、内訳を出してほしいと伝えて構いません。何にいくらかかるのかを説明するのは会社側の仕事です。
この会社は土地の相談も受けています。宅地建物取引業の免許を持っていて、土地と建物をあわせて提案する形をとっているためです。土地から探す場合は、土地代を含めた総額で資金計画を立ててもらいましょう。土地を先に買ってから建物が予算に収まらない、という順序を避けられます。
| 項目 | 公表されているか | 確かめ方 |
|---|---|---|
| 坪単価・本体価格 | 公式サイトに記載が見当たらない | Home Buildで概算を出し、詳細見積もりを依頼する |
| 建築申し込み契約料 | 10万円と公表 | 設計契約の時点で必要になる |
| 付帯工事・諸費用・外構 | 記載が見当たらない | 総額の見積書として1枚にまとめてもらう |
| 土地代 | 物件による | 土地と建物をあわせた資金計画を出してもらう |
| 工期の目安 | 記載が見当たらない | 着工から引き渡しまでの工程表をもらう |
ここまで見てきた金額が高いのか安いのかは、1社の資料だけを眺めていても判断がつきません。同じくらいの広さの家を、ほかの会社ならいくらで建てられるのか。手元に何社かのカタログがあれば、その見当がつきます。
まだ候補を絞りきる時期でなければ、タイプの違う会社をいくつか取り寄せておくと、価格の幅が見えてきます。同じ条件で見積もってもらえば、金額の差もはっきりするはずです。
住宅性能はどこまで確認できるか
性能の数値は、公式サイトでは確認できませんでした。UA値もC値も、耐震等級や断熱等級を全棟でどう扱っているのかも、記載が見当たりません。そのかわり、業界団体の認定を通して、認定された事例が満たした基準までは分かります。
信州ブランドの認定基準から分かること
木造住宅協会は、信州ブランド住宅の認定基準を公開しています。耐震は等級3、断熱はG1グレードで外皮のUA値が3地域なら0.38以下・4地域なら0.46以下、省エネはBEI値1.0以下、劣化は等級2以上、県産材は主要な構造材で50%以上、という内容です。認定の審査では、構造の計算書類、外皮計算書類、一次エネルギー消費量の計算書類、製材の出荷証明などを提出することになっています。
| 項目 | 信州ブランドの認定基準 | 認定審査で提出するもの |
|---|---|---|
| 耐震 | 等級3(協会は自社評価と明記) | 検討・計算した書類 |
| 断熱 | G1グレード。外皮UA値は3地域0.38以下、4地域0.46以下 | 外皮計算書類 |
| 省エネ | BEI値1.0以下 | 一次エネルギー消費量の計算書類 |
| 劣化 | 等級2以上(協会は自社基準と明記) | 認定項目の書類と設計図書 |
| 県産材 | 主要構造材で50%以上(県内製材) | 製材の出荷証明、木拾い計算資料 |
この基準には但し書きがあります。協会は耐震・断熱・省エネの各項目に「自社評価」、劣化の項目に「自社基準」と明記しています。第三者機関が性能を測って与える評価ではなく、会社が自ら計算した書類を提出して認定を受ける仕組みだ、ということです。
そのうえで、井坪工務店の施工例は2025年度に4件が認定されています。少なくともその4件については、上の基準を満たす計算書類が提出され、協会の審査を通ったと読めます。ただし、これを会社が建てるすべての家の標準仕様だと受け取るのは行き過ぎです。認定を受けたのは個々の事例であって、全棟の基準が公表されているわけではありません。
通気断熱WB工法とは何か
この会社が取り入れているのが、通気断熱WB工法です。WBはダブルブレス、2つの呼吸という意味だと説明されています。家全体の通気と、土壁の調湿作用を応用した壁面の通気、この2つを組み合わせる考え方です。
仕組みは3つに分けて説明されています。1つめは壁の中の通気で、通気口から入った空気が床下の冷たい空気と混ざって壁の中を上がっていき、夏の熱気と湿気を外へ逃がします。2つめが形状記憶合金を使った通気口で、気温が下がると自動的に閉じて冷たい空気の侵入を防ぎ、壁の中の空気を動きにくくして断熱性を上げるとされています。3つめが湿気を通す壁で、室内の化学物質や生活臭を湿気とともに屋外へ出す仕組みです。公式サイトは、機械換気に頼らなくても室内のホルムアルデヒド濃度を厚生労働省の指標値である0.08ppmより低く抑えられると説明しています。
この工法の普及活動では、2009年から2018年にかけて最優秀賞・全国一位を受けた実績が公式サイトに記載されています。体感については、住まいの情報センター松川に比較できる部屋があり、モデルハウスでも確かめられます。文章で読むより、夏や冬に実際に入ってみたほうが早い部分です。
公式サイトで確認できなかった数値と、その埋め方
整理すると、公式サイトで確認できなかったのは、UA値とC値の実測値や標準仕様の数値、耐震等級と断熱等級を全棟でどう扱っているか、構造計算をどの方法で行っているか、の3点です。信州ブランドの認定は、認定された事例についての情報であって、これらの代わりにはなりません。
埋め方は決まっています。自分のプランで計算してもらうことです。設計が進んだ段階で、そのプランのUA値の計算書、気密測定を行うかどうかの回答、耐震等級3を取得できるかどうかの回答と構造計算の方法を、書面で出してもらってください。数値を公式サイトで確認できない会社でも、自分の家の数字であれば出してもらえます。他社と比べるときも、同じ書類をそろえれば同じ土俵に乗せられます。
保証と点検はどうなっているか
引き渡し後の関わり方は、この会社が前面に出している部分です。点検は30年にわたって続きます。一方で、保証の年数や免責の範囲は、確認した公式ページには見当たりませんでした。
引き渡し後の流れ
完成から6か月目には、住まいの情報センター松川でお手入れセミナーが開かれます。アフター担当の社員から、家の正しい使い方とセルフメンテナンスの方法を実際に手を動かしながら教わる場です。
入居後1か月と3か月には、施工を担当した棟梁が訪問します。工事をした本人が来るので、気になっている箇所をその場で見てもらえます。
入居から1年が経つと、30年にわたる定期点検が始まります。そのつどチェックシートを使って家の状態を確認し、大きな不具合になる前に手を打つという考え方です。突発的な不具合には随時対応するとされていて、訪問するスタッフは工事と同じく全員が認定資格者の修了証を持っています。点検の管理には顧客管理システムを使い、履歴を蓄積していくと説明されています。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 完成から6か月後 | お手入れセミナー。家の使い方とセルフメンテナンスを案内 |
| 入居後1か月・3か月 | 施工を担当した棟梁が訪問 |
| 入居1年後から30年間 | 定期点検。チェックシートで状態を確認 |
| 随時 | 突発的な不具合への対応。訪問者は全員が認定資格者 |
書面で確認したいこと
点検の手厚さと、保証の範囲は別のものです。確認した公式ページには、構造や防水、防蟻についての保証年数や、免責がどこまで及ぶかの記載は見当たりませんでした。住宅瑕疵担保責任保険についても、どの保険法人と契約しているかは分かりませんでした。
契約前に、保証書の対象部位、免責の範囲、10年を超えて保証を延ばす場合の条件とそのときの費用を確認しておいてください。新築住宅には、引き渡しから10年間の瑕疵について事業者が資力を確保する仕組みがあり、保険に入るか保証金を供託するかのどちらかが求められます。どちらの方法をとっているのか、保険であれば保険法人と対象範囲がどうなっているのかを、書面で確かめておいてください。
商品は3つ。平屋も選べます
住宅ブランドは3つあり、好みで選ぶ形になっています。会社としては通気断熱WB工法を取り入れており、WOODSのページには通気断熱工法だと明記されています。ほかの2つのブランドのページには工法の記載が見当たらなかったため、自分が選ぶプランで採用されるかは確認が必要です。
MU・WOODS・fineの違い
MUは、大工がつくる和の家という位置づけです。世代を超えて住み継ぐことを掲げていて、素材と構造と職人の技を前面に出しています。柱と梁には檜、土台にはヒバ材を使い、基礎は一体打ち工法。100年以上経った欅を大黒柱に用いるという説明もあります。
WOODSは、上質な普段着のような家という表現で紹介されています。家族構成に合わせてつくるフリープラン、プランを組み合わせるセミオーダーの2通りに加えて、屋根の形や家の形で選ぶ4つのスタイルの規格住宅も用意されています。デザイナーと大工が一緒につくった家具の提案もあると説明されています。
fineは、BinOという規格住宅です。家の形を選び、間取りと大きさを選び、自分らしさを加える、という3段階で決めていきます。平屋、スキップフロア、2階建て、小屋というタイプがあり、価格の見通しを立てやすいのが自由設計との違いです。
平屋を建てたい場合
平屋は選べます。規格住宅のfineに平屋のタイプがそろっているほか、信州ブランドの2026年度の認定事例として掲載されている1件が平屋でした。回遊できる動線と無垢の床を組み合わせた家で、床面積は30.00坪、認定は5スターです。
平屋は、同じ延床面積でも基礎と屋根の面積が2階建てより大きくなるため、坪単価だけを見ると割高に見えることがあります。総額と土地の広さをあわせて考えたほうが実態に合います。展示場では2階建てのモデルハウスが中心なので、平屋を考えている場合は完成見学会の予定を確認して、実際の平屋を見せてもらうのが早道です。
工事の品質をどう担保しているか
公式サイトが品質について説明している内容は、大きく3つに分かれます。工事にあたる人の資格、監査の回数、そして工程の管理です。
認定資格者と第三者現場監査
工事は、この会社の考え方に賛同した認定資格者だけが行うことになっています。社員の職人と、日の出会と呼ばれる協力業者・職人の全員が年に一度の講習を受けて資格を保有し、認定資格者修了証は毎年4月に更新されるという説明です。
監査については、法律で規制されていない箇所にも自社の施工基準を定めたうえで、工事中の後戻りできない重要な箇所で8回から10回の第三者現場監査を実施するとしています。自社基準を設けている箇所は、職人の勘所にあたる部分の50%以上にのぼるとのことです。
ここは公式サイト自身が注意書きを添えています。第三者監査は第三者検査とは異なり、品質を担保するための取り組みだ、という説明です。法律にもとづく検査とは別のものだと会社側が明示しているので、そのまま受け取るのが正確です。
工程の管理
工事の工程には、リアルタイム工程管理システムを使っています。職人と工事管理者が双方向で現場の状況を共有し、工程を組み立てていく仕組みです。同じシステムを引き渡し後の顧客管理にも使い、定期点検とアフターサービスの履歴を蓄積すると説明されています。
工事管理者も、職人として長く職長を務めてから管理者になった人たちだとされています。現場を知っている人が管理する体制ということです。
井坪工務店を選ぶ理由になりそうな点
公式の情報と公的な記録から、この会社を選ぶ理由になりそうな点は4つあります。
1つめは、会社の実体が確かめやすいことです。建設業許可と宅地建物取引業免許の番号、所在地、電話番号が、公式サイトと木造住宅協会の会員ページの両方に載っていて一致しました。法人番号と本店の所在地は、国税庁の法人番号公表サイトを出どころとするデータでも確認できます。口コミが少ない会社を検討するとき、この確認が取れているかどうかは大きな違いになります。
2つめは、業界団体の認定を継続して受けていることです。2022年10月に信州ブランド認定工務店となり、2025年度には4件の施工例が認定されています。工務店側の認定では、事業の引き継ぎや財務、人材育成といった、施主からは見えにくい部分まで聞き取りの対象になっています。
3つめは、引き渡し後の関わりが長いことです。入居1年後から30年にわたる定期点検があり、入居後1か月と3か月には施工した棟梁本人が訪問します。建てて終わりではない体制が、公式サイトの記載として確認できます。
4つめは、工事にあたる人が限定されていることです。認定資格者だけが工事を行い、資格は毎年4月に更新されます。重要な箇所では8回から10回の現場監査が入ります。
検討する前に知っておきたい点
一方で、事前に知っておいたほうがよい点も4つあります。
1つめは、公開されている口コミがほとんど見つからないことです。今回の調査で確認できた第三者の投稿は2件で、どちらも家づくりの体験ではありませんでした。ほかの施主がどう感じたかを事前に知りたい方にとって、この材料の少なさは正直に受け止めておく必要があります。完成見学会が定期的に開かれているので、実際に建った家を見る機会でここを補ってください。
2つめは、価格の情報が出ていないことです。坪単価も本体価格も公式サイトに記載が見当たらないため、問い合わせる前に予算感をつかむのが難しくなっています。Home Buildのシミュレーションはありますが、そこで出るのは建物の概算です。
3つめは、住宅性能の数値が公式サイトで確認できないことです。UA値もC値も、全棟でどの等級を標準にしているかも分かりません。性能を数値で比べたい方は、自分のプランの計算書を出してもらう手順を踏むことになります。
4つめは、地域と参加条件です。公式サイトに対応エリアの記載がないため、建築予定地で引き受けてもらえるかどうかは、問い合わせるまで分かりません。また、資金セミナー、土地セミナー、工場・現場見学ツアーは、展示場に来場したことがある方が対象です。初めての場合はモデルハウスか見学会に足を運ぶところから始まります。段取りとしては自然ですが、いきなりセミナーだけ参加したい方には合いません。
井坪工務店が向いている人・慎重に考えたい人
向いている人
南信州に土地があるか、これから探す予定がある方。無垢の木や大工の手仕事に価値を感じていて、通気断熱WB工法の考え方に納得できる方。営業に押されるのが苦手で、自分のペースで進めたい方。この会社は営業担当を置かない体制を明言しています。
建てたあとの付き合いを重視する方にも合います。30年の定期点検と、施工した棟梁の訪問が制度として決まっています。土地探しから相談したい方も、宅地建物取引業の免許を持っているので、土地と建物をまとめて相談できます。
規格住宅で予算の見通しを立てたい方にはfine、和の趣を求める方にはMU、というように、好みから入れる点も検討しやすいところです。平屋を考えている方にも選択肢があります。
慎重に考えたい人
他社の施主の評価をたくさん読んでから決めたい方には、材料が足りません。判断を口コミに頼りたい場合は、この会社では別の方法が必要になります。
性能の数値で会社を横並びに比べたい方も、そのままでは比較表が作れません。自分のプランで計算書をもらう手順を挟むことになります。手間をかけられるかどうかで、向き不向きが分かれます。
建築予定地が協会の会員ページに載っている市町村から離れている方は、引き受けてもらえるかどうかが公開されている情報からは判断できません。早い段階で問い合わせておくと、時間を無駄にしなくて済みます。
契約前に確認しておきたいこと
公開されている資料では分からなかった項目は、書面で受け取れば埋められます。どれも打ち合わせの場で頼めば出してもらえるものです。
- 土地代、付帯工事、屋外の給排水、地盤改良、外構、諸費用まで含めた総額の見積書。一式と書かれた項目は内訳を出してもらう
- 自分のプランのUA値の計算書。断熱材の種類と厚さ、サッシとガラスの仕様。気密測定を行うかどうかの回答
- 耐震等級3を取得できるかどうかの回答と、構造計算をどの方法で行うか
- 保証書の対象部位と免責の範囲。10年を超えて保証を延ばす条件と、そのときの費用
- 住宅瑕疵担保責任保険の証明書。保険法人の名称と対象範囲
- 着工から引き渡しまでの工程表。設計変更や追加工事が発生したときの費用の扱い
- 建築予定地が施工範囲に入っているかどうかの確認

見学会に行くときは、収納の幅や高さを測らせてもらってください。いま使っている家具や家電が入るかどうかは、図面だけでは判断しにくい部分です。台所や洗面所の明るさは時間帯で変わるので、可能なら違う時間帯にもう一度見ておくと、住んでからの印象とのずれが小さくなります。
井坪工務店のよくある質問
井坪工務店の坪単価はいくらですか?
A. 公式サイトの各ページを確認しましたが、坪単価も本体価格も記載は見当たりませんでした。金額として確認できたのは、設計契約のときに必要になる建築申し込み契約料10万円だけです。公式サイトにHome Buildという見積もりシミュレーションがあり、家のタイプや間取り、設備を選ぶとおおよその金額を確認できます。ただし出てくるのは建物の概算なので、土地代や付帯工事、諸費用まで含めた総額の見積書を別に依頼してください。
井坪工務店の口コミが少ないのはなぜですか?
A. 理由は分かりませんでした。口コミ総合サイト、掲示板とQ&Aサイト、SNS、個人ブログ、動画のコメント欄を探し、会社名のほかに本店住所や代表電話でも検索しましたが、家を建てた方の体験を書いた投稿は見つかりませんでした。確認できた第三者の投稿は2件で、どちらも家づくりの体験ではありません。施工の数が限られるからだ、といった説明もできますが、裏づけがないため推測は書きません。判断材料としては、公的な記録と業界団体の認定、そして完成見学会をお使いください。
井坪工務店で建てられる地域はどこですか?
A. 公式サイトに対応エリアの記載は見当たりませんでした。木造住宅協会の会員ページでは南信の区分に置かれ、飯田市、伊那市、駒ヶ根市、上伊那郡、下伊那郡、岡谷市、茅野市、諏訪市、諏訪郡のカテゴリに掲載されています。ただしこれは会員一覧の分類で、この会社が対応できる範囲を示したものではありません。本社は飯田市上郷黒田で、展示場は飯田市鼎名古熊と伊那市下新田、ショールームが下伊那郡松川町にあります。建築予定地で建ててもらえるかどうかは、最初の問い合わせで確かめておいてください。
井坪工務店で平屋は建てられますか?
A. 建てられます。規格住宅のfineには平屋のタイプがそろっており、木造住宅協会の信州ブランドでも、2026年度の認定事例として掲載されている1件が平屋でした。回遊できる動線と無垢の床を組み合わせた家で、床面積は30.00坪、認定は5スターです。展示場のモデルハウスは2階建てが中心なので、平屋を見たい場合は完成見学会の予定を確認して、実際の平屋を案内してもらうのが確実です。
耐震等級や断熱性能はどのくらいですか?
A. 全棟の標準としての数値は、公式サイトでは確認できませんでした。確認したページにUA値やC値の記載はなく、どの等級を標準にしているかも分かりませんでした。参考になるのは木造住宅協会の信州ブランドの認定基準で、耐震は等級3、断熱はG1グレードで外皮UA値が3地域0.38以下・4地域0.46以下、省エネはBEI値1.0以下とされています。ただし協会はこれらを自社評価と明記しており、認定を受けたのは個々の施工例です。自分のプランの数値は、計算書を出してもらって確認してください。
保証は何年ありますか?
A. 確認した公式ページには、構造や防水、防蟻の保証年数や免責の範囲の記載が見当たりませんでした。分かっているのは点検の体制のほうで、完成6か月後にお手入れセミナー、入居後1か月と3か月に施工した棟梁の訪問、入居1年後から30年にわたる定期点検が案内されています。保証書の対象部位と免責、延長するときの条件と費用は、契約前に書面で確認しておいてください。
展示場や見学会には予約なしで行けますか?
A. 予約制の催しがあります。モデルハウスの見学はウェブと電話で予約を受け付けており、完成見学会も予約制で開かれています。木造住宅協会の会員ページを見ると、2026年に入ってからも2月末から8月下旬まで繰り返し開催されていました。無料相談会の匠塾には、住まいの相談会、資金セミナー、土地セミナー、工場・現場見学ツアーの4つがあります。このうち資金・土地・見学ツアーは展示場に来場したことがある方が対象なので、まずモデルハウスか見学会から始めてください。
リフォームだけを頼めますか?
A. 頼めますが、条件があります。iRというリフォームの窓口があり、部分的な修繕、内装や設備の更新、耐震や断熱の改修を伴う大規模なリフォームまで対応すると説明されています。ただし間取り変更を伴う大規模な改修では詳細な図面が必要になるため、この会社で新築を建てた方以外には設計契約が有償になります。見積もりだけの依頼は断る場合があるとも書かれているので、相談の段階でどこまで無償かを確かめておくと行き違いがありません。
まとめ
確かめられたのは、次の6点です。
- 公開されている口コミを5つの媒体で探した結果、確認できた第三者の投稿は2件。どちらも家づくりの体験ではなく、建てた方の評価は見つからなかった
- 名前のよく似た別会社に関する投稿3件と、どの会社か特定できない展示場への投稿3件は、対象から外した
- 建設業許可と宅地建物取引業免許の番号、所在地、電話番号が、公式サイトと木造住宅協会の会員ページで一致した。法人番号9100002035752と本店所在地は法人番号公表サイト由来のデータでも確認できた
- 2022年10月に信州ブランド認定工務店となり、2025年度は4件の施工例が認定された。内訳は4スター3件と5スター1件で、床面積は27.56坪から34.87坪
- 引き渡し後は、完成6か月後のお手入れセミナー、入居後1か月と3か月の棟梁訪問、入居1年後から30年の定期点検が案内されている
- 木造住宅協会の会員ページでは南信の区分に掲載されているが、公式サイトに対応エリアの記載はない。展示場とショールームは飯田市、伊那市、松川町にある
公開されている資料からは確かめられなかった項目もあります。坪単価と本体価格、UA値とC値、全棟での耐震等級と断熱等級の扱い、構造計算の方法。保証の年数と対象部位、免責の範囲、住宅瑕疵担保責任保険の保険法人名、着工から引き渡しまでの工期。二級建築士事務所登録は国土交通省の検索システムの対象外のため、そこでは確かめられませんでした。信州ブランドの星の段階ごとの基準の違いも、今回は分かりませんでした。
ここまで読んでくださった方に、次にやることをひとつだけ挙げるとすれば、書面をそろえることです。総額でそろえた見積書、自分のプランのUA値の計算書、耐震等級3を取得できるかどうかの回答、保証書の免責の範囲。この4つが手元にあれば、公式サイトで確認できない数値があっても、他社と同じ条件で並べて比べられます。
口コミが少ないことは、この会社を外す理由にはなりません。判断の材料を、投稿ではなく書面と現物に置き換えればいいだけです。完成見学会は定期的に開かれています。まずは実際に建った家を見て、そのうえで書面を頼むところから始めてみてください。


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